スティーヴン・キング原作、スタンリー・キューブリック監督の傑作ホラー。
ホラー映画はそれまでいわゆる「エクソシスト」とか「ポルターガイスト」みたいなオカルト、お化けや殺人鬼が出てくる映画が支流であり、勿論本作もそういうシーンがなくはないけど、もっと人の心情とか人間の心に潜む恐ろしさや恐怖を表現した作品。「現代ホラーの元祖」的な作品とも言われている。
ストーリーはある一家が、ホテルの管理人になるところから始まる。ホテルがある場所は人里離れた超豪雪地帯の為、冬の間は客が来ない。その間だけホテルを管理してほしいと。食べ物は冷凍庫にある物を自由に食べて良いし、ホテル内を自由に使ってくれとのこと。
主人公(ジャック・ニコルソン)は売れない作家志望の男なので、管理人(実質住んでるだけで)でお金が入るのでちょうど良いという具合。
奥さんと息子も一緒にこの広いホテルで生活。
息子がホテル内を三輪車で走っているとおかしなモノが見えたり、不思議な現象が起こったり…そしてある部屋番号の部屋には絶対に入るなと警告されたり。
広いホテルに家族三人だけ。世間から完全にシャットアウトされた状態。なんだかそれだけで心が病みそうだが、そんな状況に不気味な映像やSEを絡ませてジワジワと恐怖に導く演出が巧い。
実際派手なシーンはラストぐらいで、それ以外は結構ゆっくりジワジワ系。ただ、女性の幽霊が高笑いするシーンは背筋が凍るような恐怖を覚えた。
そして本作に欠かすことが出来ないのがジャック・ニコルソンの怪演。
徐々に頭がおかしくなっていくオジサンを圧倒的な演技力で演じる。
結局お化けや悪魔なんかよりも人間の心がぶっ壊れるのが一番怖いよってヤツ。
そりゃ映画のラストではこのジャケットみたいな顔になっちゃうわけだ。
ただ怖い、ただグロい、じゃなくてもっと奥の深さを感じさせる名作。