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ANORA アノーラのよもぎのレビュー・感想・評価

ANORA アノーラ(2024年製作の映画)
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べっしょべしょに泣いた…。
ストリップクラブのダンサーをしている女性が店で出会ったロシアの御曹司に見初められ結婚する。とても現実的なシンデレラストーリーのその後の話。

主人公のアノーラは友達と客の愚痴を吐きつつクラブで働く女性で、粗末なアパートに姉か妹と暮らしている平凡な女性で、ロシア語が話せて頭が良い。それ位の事しか観客も彼女を気に入り結婚を申し込んだ脳味噌下半身に付いてる系ボンクラボンボンも彼女のことを知らない。(ボンボンに関して云えば↑のクラブで働いてる部分しか知らないカス具合)
それでも完全に頭軽い金持ちノリでしか無い勢いだけのプロポーズを彼女が受けたのはそこに彼女の人生を賭けたからで、だからこそ彼女は決して屈する事無く遮二無二戦うのだということは分かる。
金持ちの彼女として馬鹿高い豪邸やホテルに居てもアノーラは金持ちの機嫌に振り回される市井の働く人達に気を配るし彼等も金持ちが娼婦と罵り軽んじるアノーラの在り方に一目置く。
プライドを持って戦うアノーラはとても格好良くちょっと笑える程クレイジーででもやっぱり格好良い。滅茶苦茶幸せになって欲しいし、そんな我々の気持ちを代弁する様なガードワンコ的綺麗な目の素朴坊主イゴール(物理めちゃ強)が出て来てからは正直イゴールの一挙手一投足を目で追い続けるレベルでずっとイゴーーール!!!て叫び続けてました。何だあの可愛い生き物は。
アノーラさんはあんな気紛れに垂らされる蜘蛛の糸の様な金持ちの夢ではなく、差し伸べられるイゴールの優しく綺麗な手をしっかり掴んで離さず幸せになってくれ……の気持ち。

説明は無く、それでも一人戦う女性の強さと脆さを隅々まで魅力的に描き切る、とても良い映画だった。中盤のアノーラさん大暴れ劇場とラスト、ほんとに好……………。
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