てんぞー

ガメラ 大怪獣空中決戦のてんぞーのレビュー・感想・評価

ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年製作の映画)
3.9
ガメラとギャオスが戦う話。
着ぐるみ特撮の最高峰、平成ガメラ三部作の1作目。
昭和シリーズでは何となく人類の味方で、バイラス星人には「子供に異常な執着を持ってる」などと言われていたガメラだが、今作では古代文明から残された「守護者」として再定義され、明確に味方の怪獣として描かれる。のだが、敵対怪獣を倒す為にビルなどを破壊する事はいとわないなど、コラテラルダメージに気を使わない性分が災いして自衛隊とはずっと敵対関係。

その一方、ギャオスは相変わらず人を積極的に食べていく狂暴な怪獣でありながら、何とか捕獲したい日本政府によってあまり積極的な攻撃が加えられないなど、ガメラとの扱いの対比が面白い。

怪獣デザインは昭和の頃から一新。ガメラは全体的に愛嬌ある顔立ちだが、体の厚みがグッと増してマッシブな体型。ギャオスはより生物的な造形になり、首も回れば手も良く動くようになってスタイリッシュに進化。

物語構成では、本物の政府各省庁や自衛隊の協力もあって、後のシン・ゴジラで徹底して描かれたリアリティの高い政府対応が展開されるが、その一方で勾玉を通じて人間の少女とガメラが心を通わせるなど、ファンタジックな要素も織り込まれて非常にクオリティが高い。

東京タワーに巣作りするギャオスやコンビナートに墜落して驚くほどの大爆発を起こすガメラなど、印象に残るシーンも多い。最高の怪獣映画の一つ。
山奥でギャオスとガメラが対峙するシーンの撮影で、あまりの猛暑に監督の風邪が逆に治ったという逸話が好き。