セッセエリボー

アンダーグラウンド・オーケストラのセッセエリボーのレビュー・感想・評価

4.5
思いがけずめちゃくちゃ好みの映画でウキウキが止まらなかった。パリの地下鉄で演奏して生活費を稼いでいる移民のミュージシャンたち。ベネズエラ、サラエボ、ルーマニア、ベトナム、セネガル、様々な土地から様々な理由でパリに流れ着いた彼らの演奏を捉え、話を聞く。地下鉄内は撮影厳禁らしくてアンダーグラウンドは早々に退場するものの、もれなく地下鉄での演奏からスタートしている彼らのいくつもの人生、いくつもの音楽や言語が混ざり合ってパリというオーケストラができあがっているさまが丁寧に描かれている。というか最近の映画かと思ったら1997年…移民を取り巻く環境がまるで改善してないことに絶望する。カメラワークと編集も本当にすばらしくてDVDほしくなった(特にアルメニア人のストリートミュージシャンが通行人と話してるところ)。
現代社会では誰もが独房に囚われている、だから誰に強いられるのでもなく、自分だけの独房を世界のどこかに持っていることが本当の自由なんだよ、と言いながらものすごく狭い部屋に住んで歯磨きしてる詩人が最高だった。