イチロヲ

双頭の殺人鬼のイチロヲのレビュー・感想・評価

双頭の殺人鬼(1959年製作の映画)
3.5
日本での取材活動に勤しんでいるアメリカ特派員の男性が、人間の超進化を研究している科学者の企みにより、獣人化させられてしまう。当時の日本を舞台にしている、日米合作のホラー映画。同監督は、本作以前にも日米合作を手掛けている。

研究一筋の日本人科学者が、アメリカ人特派員を誘い込むために、日本のエロ文化を利用する。遊女とごっちゃになっている芸者遊び、婦女子と裸の付き合いができる混浴風呂など、外国人から奇異の目で見られてしまいがちな日本文化が盛り込まれている。

中盤からは、温泉の特殊な効能により特派員の獣人化が始まる。タイトル通り、もうひとつの頭が生えて双頭になるのだが、見るからに造り物の頭をくっつけているだけなので、ついつい笑いを誘われてしまう。

小規模なロケ撮影に留まっており、英語台詞メインの地味な作風になっているため、ダイナミックな映像は出てこない。しかし、デタラメ文化を排除した、エキゾチック・ジャパンをきちんと収めている怪奇映画として、資料的価値があることは確か。
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