マクロにもミクロにも、深刻な複数の(だけど地続きの)テーマを真正面から描いた作品。
まず単純に、作劇としておもしろい。だからこそ(ここまでされてやっと……)、現実に存在する問題に目を向けることができる。
登場人物は典型化/類型化されない。個人を応援し、個人を断罪するのでは、ただそれで完結してしまうけれど、そうでないならば意識は「構造」へ向かう。
明確に批判されるのは、国や家族や信仰における、旧態依然の盲信(と押し付け)。エンタメの仕組みとして用意された抑圧ではないから、身につまされて苦しい。
差し込まれる縦型映像を、作中に身を置いて直視することになる。単純な視聴環境と心理的距離が相まって、余計に痛みを伴う。