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室井慎次 生き続ける者のsingerのレビュー・感想・評価

室井慎次 生き続ける者(2024年製作の映画)
3.5
前編となる「敗れざる者」は、「踊る大捜査線」にあまり思い入れの無い自分にとっては、予想以上に心に来るものがあったし、この続編は公開されたら直ぐに観に行きたいなぁと待ち望んでいて。
先週の先行公開に行けなかったので、今週公開直後のタイミングで、観に行ってきました。

もう、前編があのですね。
家族の絆とか、そういうものにグッとフォーカスしていて、敢えてじっくりとドラマの部分を見せておいて、後編で大捜査線が踊りまくってくれるのを楽しみにしていたんですけど。

ん?
全然、踊って来ないぞ。
むしろ、前編をそのまま引き継いでるだけじゃないか??
って、そんな風に観ているうちに、終わってしまったという感じ。
なんか、事件の真相に迫ってく展開とか、アクション要素や、サスペンスの要素も少なく、最後の最後まで、ひとつ屋根の下に住む、室井さんと子供達のドラマを、タップリと堪能させて貰ったなぁという、そんな作品でしたね。

自分も、年頃の娘を持つ、父親の立場として。
室井さんと子供達の間に生まれる、血よりも濃い、家族のような絆には、前編同様に心を打たれたし。
「家族でいる時間には、限りがある」という、その台詞は本当に沁みました。

子供が子供でいる時間。
無邪気に、「パパー、ママー」って慕ってくれる時間。
そんな時間は、本当あっと言う間に過ぎてくんだなぁというのを、最近、実感していて。
子供達と一緒に遊んだり、お風呂に入ったり、ひと部屋で川の字になって眠ったり。
そんな、家族全員がひとつの屋根の下で暮らす時間も、いつかは終わる。
家族である事は、一生変わることはないけど、子供はいつか、親の手から離れて行く。
その時間は、過ぎてみると本当に、一瞬のように感じられるんですよね。
だから、今からでも。
後悔の無いように。
家族が一緒に住んでいる、この時間を大切にしていたいなぁと、そんな事を室井さんの背中から、改めて学ぶような、そんな素敵な一家の物語だったのが良かったです。

でも。
でもですね!!
ラストの展開。
これは無いわーと。

シリーズに思い入れの無い自分はまだしも、「踊る大捜査線」の往年のファンは、シリーズの今後に、凄く楽しみにされていた事を、根こそぎ削がれてしまったんじゃないかと、そんな風に感じましたね。
その瞬間は、エンドロールの後です。
なので、これから観る方は、最後の最後まで、しっかり見届けて欲しいなぁと思いました。
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