どんぐり

劇場版 アナウンサーたちの戦争のどんぐりのレビュー・感想・評価

4.2
悪魔の拡声器にしてしまった、と言うセリフを聞いて、そうしないためにこの時代のアナウンサーに何ができたのだろうと苦しくなった。でも確かに、戦争の熱に浮かされて強い言葉を使っていたのも事実だし、周りに流されず真実を伝えることはとても難しい。
勉強として学徒動員の話は知っているし、その規模も学んだはずだけど、それが仇となって、勉強として学び数字として人を見てしまうと、一人一人の人生が無かったことになってしまう。五万という数に圧倒され、彼ら一人一人に夢があったことを見落としてしまう。死にたくなどないだろう、家族と共に生き、家族を増やしたいだろうとは想像できても、もう二度と叶わない夢を胸に死んでいく現実から逃げることができなかったことを、大きすぎる数字と詰め込み式の歴史教育が想像を鈍らせる。

森田剛と保田圭の声がとてもよかった。この映画においては特に、声の持つ雰囲気がとても重要だと思った。招魂祭の「母さん」から始まる和田(森田剛)の声音には、心が揺さぶられる。
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