このレビューはネタバレを含みます
ファンタジーだと思ったらサスペンスだったみたいな展開の読めなさでポップもサイコパスも好きな私には面白かった!どっちもイケる人にしかハマらなそうではある。
チャチャの職場も樂の部屋もお店もインテリアにそれぞれ違う可愛さがあって、パン屋、川辺、山の中どこを切り取ってもおしゃれでわくわくするし、登場人物それぞれの個性が現れたファッションも最高!
基本的にポップでふわふわしてるのに、中川大志が絵の具を口にするシーンだけ急に色気がすごくて、その後くるサスペンスよりもドキッとした。
野良猫の「飼って責任は持ちたくないけどその場で可愛がるのは良い」というのを可愛くないのにモテる女の子に重ねるの秀逸な表現だなと思った。
チャチャの自由すぎるのとあざとさは私も好きじゃないけど、悪口を言う同僚も楽しくなさそうで可哀想だしもっと他に楽しいこと考えれば良いのにと思ってしまう。凛さんのチャチャに憧れる気持ちはなんとなく理解できるし、チャチャと凛さんが少しずつ友達になっていくのが好きだった。凛さんの素直さが可愛くて、ラストは好きな社長にまでチャチャマウントとってて笑う。
「正義の味方は愛する人を犠牲にしても世界を守るけど、悪役は世界を犠牲にしても愛する人を守る」って言葉が印象的だった。
変わり者を自負しているチャチャが悪役を魅力的に感じるのは納得だし樂にこれ以上罪を重ねてほしくなかったのか悪役になると樂を切ったけど、他人である護やピオニーを守っててなんだかんだ正義の味方だと思う。
樂がチャチャを受け入れたのが「未来の事は分からないから好きになれるかもしれないと思った」というのが切ないし、好きな人の血を舐めたかったチャチャが樂の血を口にした瞬間に美味しくないと好意が冷めていくのも興味深い。
首と見せかけて耳を切ってたので好きだと話してたシャガールじゃなくてゴッホ?と思ったもののこれは考えすぎか。
1本だけマニキュア塗るの真似しようかなとか、アップルタイザーやパプリカ、オムレツやおしゃれ料理、お寿司とか食べ飲みしたいと思ってたのに、グロ耐性がない事もあり血を見たら一瞬でどうでもよくなってしまった。強いて言うならラストに出てくる美味しくなさそうな紫のケーキがちょっと食べたい。
出会いから終始謎に落ち着いてる護とチャチャのやりとりも、不倫を疑う凛さんとラストの落合モトキの心の中でしゃべる予想が何一つ合ってないのも面白い。
ピオニーが自宅の玄関花に毎日「ようこそ」と言うのがタンポポの押花につながるのかとほっこりした。
急に電柱とかポストとか色んな物の声が聞こえるのもストーリーがはちゃめちゃだから気にならなかったし、玄関の花と押花の会話が超絶シュール。
チャチャの「誕生日は誰かに期待せず、自分でケーキ買えばいいじゃん」と樂の「誕生日は誰かと一緒に過ごすことで自分は必要とされてると確認する日」って言葉が正反対な2人を表してるのにどっちにも頷けるし、何も期待してなかったであろう凛さんの誕生日をチャチャが祝うのも良かった。
(not) HEROINE moviesシリーズも本作も好きだけど、これはダークヒロインって感じだなと思う。