Laura

殺人者のLauraのレビュー・感想・評価

殺人者(1946年製作の映画)
3.5
『マルタの鷹』『三つ数えろ』『過去を逃れて』に並ぶ40年代のプロット錯綜系フィルム・ノワール。分かりづらさの一因は畳みかけるような人物と固有名詞の登場にあり、たとえば主役のバート・ランカスターはピート・ラン=オリー・アンダーソン=スイードと三つの名前で呼ばれる。それでもジャック・ターナーの『過去を逃れて』に比べればだいぶ分かりやすいのだ。事件は冒頭に起き、準主役が複数の証言者による回想を辿りながら真相に近づいてゆく。帽子工場の強盗シーンでは、事件を伝える新聞記事を読み上げる声に合わせて実際の強盗の情景がワンカットにおさめられ、実にスマート。テクスト(原作)とイメージ(映像)の親密な関係を思う。弱冠23、4歳ながらエヴァ・ガードナーの貫禄の悪女ぶりもため息の出るほど素晴らしい。
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