殺人者の作品情報・感想・評価

「殺人者」に投稿された感想・評価

【これぞフィルムノワール】

陰影を強調したシャープな映像で、官能的な悪い女が出てきて、ストーリーが二転三転して、映画好きが思わず喜びそうな演出があってと、ロバート・シオドマク監督の『殺人者』はこれぞフィルムノワールという感じの作品。

原作は文豪ヘミングウェイの短編小説。

いかにもフィルムノワールって感じがするのは然もありなん。ノンクレジットだが脚本にジョン・ヒューストンとリチャード・ブルックスが参加しているのも影響あると思う。

片田舎のガソリンスタンド店員(演:バート・ランカスター)が二人組の殺し屋に殺された。死の直前、被害者は自分の運命を悟るような発言をしていたという。

事件を調べていた保険会社の調査員(演:エドモンド・オブライエン)は、被害者の身辺を洗ううちに、かつての未解決強奪事件の手がかりを掴む、というあらすじ。

他の方も同じような感想だと思うが、工場の給与金強奪シーンでの演出が素晴らしい。

事件を報道した新聞記事を読み上げる声にあわせて、四人組の犯人が工場に侵入し、強奪して逃走するまでをワンショットで撮っていて思わず唸った。

本作はバート・ランカスターのデビュー作だが、すでにクレジットではエヴァ・ガードナーと並んでトップ扱いなのが凄い。

異例の大抜擢のランカスターだが実質はエドモンド・オブライエンが主役。ランカスターの方は冒頭を除いて回想シーンでしか登場しない。

期待はしているもののやはり新人ということを心配しての役の配置なのかもしれないが、これがデビュー作とは思えないほどバランカスターはこの時既に完成されている(若干ふてぶてしさがないくらい)。

監督のロバート・シオドマクは、ナチスドイツから逃れて亡命したお人。写真を見ると電球のような頭にメガネという博士っぽい風貌で、とても本作や『らせん階段』のようなハラハラする映画を作る人には見えない。

■映画 DATA==========================
監督:ロバート・シオドマク
脚本:アンソニー・ヴェイラー/リチャード・ブルックス/ジョン・ヒューストン
製作:マーク・ヘリンジャー
音楽:ミクロス・ローザ
撮影:ウディ・ブレデル
公開:1946年8月30日(米)/1953年4月24日(日)
battuta

battutaの感想・評価

4.0
冒頭のダイナー襲撃。夜の道を歩く2人の男をロングショットで捉えたファーストカットに始まり、ダイナー内での店主と殺し屋の噛み合わない会話が、恐怖感を倍増させる。
ロバート・シオドマク監督によるアーネスト・ヘミングウェイの短編小説『殺し屋』を原案としたミステリーです。ドン・シーゲル監督『殺人者たち』(1964年)のオリジナルです。

アーネスト・ヘミングウェイの『殺し屋』は短編小説です。殺し屋がダイナーに来て、アンダーソンを殺そうと待ち構えます。しかし、アンダーソンは来ない。殺し屋たちはダイナーを出てアンダーソンの家に向かいます。ダイナーにいたニック・アダムズはアンダーソンに警告に行きます。しかし、アンダーソンは逃げようとしない……これが小説のあらすじで、この映画の導入部分となります。

アンダーソンは通称スウェード(バート・ランカスター)と呼ばれる元ボクサーです。ボクサー設定は小説と同じ。映画ではこの導入部から保険会社の調査員リアダン(エドモンド・オブライエン)が探偵役としてスウェードが殺された真相を探ります。果たして真相は?という話です。

ドン・シーゲル監督『殺人者たち』とは主人公の設定やエンディングがだいぶ違いますが、ストーリーはほぼ同じ。これほど同じなんだったら本作の脚本家アンソニー・ヴェイラーはドン・シーゲル監督『殺人者たち』でも原案のクレジットがいいようなものだけど。あと、若い頃のジョン・カサヴェテスって同じ役を演じているバート・ランカスターに雰囲気がすごい似てるんですね。バート・ランカスターの方が線が太いけど。

本作はアーネスト・ヘミングウェイの短編小説をミステリー映画に仕上げた功績は大きいとは思います。しかし、それでも、全ての面においてドン・シーゲル監督『殺人者たち』の方が上回っているのは否めないです。
LaserCats

LaserCatsの感想・評価

3.6
ガソリンスタンドの店員は何故プロの殺し屋に殺されたのか。保険調査員が真相を追うお話。
バート・ランカスターが映画デビュー作で既にこの存在感というのがびっくり。
ダイナーのカウンターから始まるシーンがいかにもフィルムノワールらしいので初めからゾクゾクしました。

原作をぜひ読みたい。そして60年代のリメイク版も観たい
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.5
【冒頭に注目】
‪『ヒストリー・オブ・バイオレンス』好き必見!冒頭におけるダイナーでのサスペンスが最高な作品。‬

‪噛み合わない会話から一触即発な修羅場と化け、そこからタイムリミットを設けていく演出は、最近の映画が忘れている業を思い出させてくれます。‬
残像

残像の感想・評価

3.2
冒頭のダイナーのシーンを見て、最近こんなのあったなと思ったら、ジャック・ターナーの「過去を逃れて」の冒頭がまったく似たようなシチュエーションだった。

「過去を逃れて」はある過去を捨てた男の物語か回想によって構成されるのだけれど、こちらもほぼ同じ。違うのは当事者による回想ではなく、第三者による視点であるということ。

第三者が捜査して情報を集めて現在の視点から過去を構成する、という行為の性質上、それは論理的な整合性こそ要求されるもので、破綻が起こりにくい。それはこの映画自体の構成にも当てはまる(個人の回想の方が、それは体験であるが故に論理的な必然性も整合性もなく、カオティックになるだろう)

どちらが優れていると言う話ではなく、そこにいるキャラクターのあり方や関係性が映画の構成や形式を作っている、という当たり前と言えば当たり前の事実に深く感じ入ったりした。

あと、やはりシオドマクの空間の使い方は非常に好み。海の見えるホテルの一室、帽子屋の強盗シーン、ラストの屋敷でのやりとりなど、はーいいなあと見入ってしまう。
No.198[死亡者は多いが殺人者は意外と少ない] 80点

普段は休日に大量摂取した映画を平日に分散して"毎日投稿"をしているのだが、今日の私がアホすぎたせいで研究室に主力PCを忘れてきてしまい、慌ててバッテリーの壊れたおじいPCを叩き起こして映画を観た。いつもドミトリク『ブロンドの殺人者』と題名が混ざったり監督が交代してたりする本作品は、アーネスト・ヘミングウェイの同名短編を映画化した作品である。映画化作品はもう一つのドン・シーゲル『殺人者たち』の方が有名だろう。

二人組の殺し屋がダイナーで待ち伏せする冒頭から既に素晴らしい。ここに登場するのは全員モブキャラだが、実に10分もの間彼らの間だけで展開するのだ。多くを語らない殺し屋の言葉の切れ端から後に起こるであろう事件を想像するが、警告をしに行った青年は普通に間に合うなど意外な点を外してくる。こうして殺されたガソリンスタンド店員の人生について、保険調査員の男が超人的な喰らいつき方で解き明かしていくのが本作品。保険調査員を演じたエドモンド・オブライエンは薄めたボギーに見えて仕方ないし、ファムファタールとなるエヴァ・ガードナーなんかほぼ登場しない上に痩せ過ぎたエヴァ・グリーンみたいで薄気味悪さすらあるのだが、残りは実に王道を走っていて爽快感すらある。特に工場に入ってから金を抱えて出るまでを描いた給料強盗の長回しは白眉。最後には入り組みすぎたプロットを上司との会話で整理してくれるので助かる。『過去を逃れて』(だっけ?)とか『三つ数えろ』とか複雑すぎて全く理解できなかったし。

『パンドラ』を観たときにも思ったが、エヴァ・ガードナーはちょっと苦手かもしれない。
lemmon

lemmonの感想・評価

3.9
冒頭のランカスターが効いている。

最後までなにが真実なのか考えながら進み、オブライエンが観客の代理となって、真実を突き詰めていく。ラストのラストまで誰を信じたらいいのかわからない。
オブライエンが刑事とかじゃなく保険屋という点もミソ!

ひとつふたつではなく、振り返ると他にない物語が沢山あり、また観返したくなった。


後は、デビュー作、デビュー間もない後の大スターの共演なのもお得感あり。
ランカスターに関してはデビュー作なの?というくらいのスケール感がこの時点である。
冒頭ダイナーシーンのカッコよさよ
完全にホッパーのナイトホークス

強盗シーンとかめっちゃ気合い入っててびびる

デブの方の殺し屋好き

ドンシーゲル版より全然おもろいなぁ