マヒロ

トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦のマヒロのレビュー・感想・評価

4.0
(2025.32)[10]
1990年代の香港で、密入国した青年チャン・ロッグワン(レイモンド・ラム)は、黒社会を取り仕切る大ボス(サモ・ハン・キンポー)の主催する賭け試合で活躍し仲間になるように誘われるが、それを断り賞金で身分証を偽造してもらうよう頼む。しかし、出来上がった身分証は全く効果のない粗雑な作りであり、賞金も渡さないと言い放たれ、怒ったチャンは大ボスの拠点にあったブツを盗んで逃げ出してしまう。部下に追われて彼が逃げ込んだ先は、かつて大抗争に打ち勝ったロン・ギュンフォン(ルイス・クー)が治める九龍城砦だった……というお話。

スルーしかけていたところを高評価に推されて鑑賞したが、評価に違わぬアツくて楽しい作品だった。個人的に、映画館で香港アクション映画をみるのって『カンフーハッスル』くらい遡るのでかなり久しぶり。
それこそチャウ・シンチーの映画でも強く思ったことだが、全体的にマンガのようなケレン味に溢れているのが良いところ。主人公の出自や仲間・敵のキャラクター設定、物理法則完全無視のカンフーアクションなど、変なところは沢山あるが、細かいところは気にせずあくまで映画としての姿勢は真摯なままで突っ走ってくれるところに気持ち良さがある。
最たるものが大ボスの右腕であるウォンガウで、ボスにヘコヘコしながらヒャハヒャハ笑ってるところとか一見やられ役のような雰囲気なんだけど、実際は気功の達人であり物理攻撃を完全無効化するというとんでもない能力の持ち主で、一人だけリアリティレベルをぶち抜いてしまっている。どう考えてもあり得ない設定ではあるが、それを馬鹿馬鹿しいと思わせない勢いがあるのも確かで、強さと見た目のギャップも相まってかなり魅力的なキャラクターだった。

また、メインの舞台となる九龍城砦が素晴らしく、既に解体されてしまったものをセットとして再現しているようだが、しっかり生活感のある汚し方があり嘘っぽくないリアルさを感じる。空中を這わせた大量のケーブルや、めちゃくちゃに家が建てられた結果迷路のようになった通路など、混沌としたロケーションとそれを活かしたアクションが格好良く、ロケーションを最大限に活かそうとする気概を感じる。
もう失われてしまった場所と、それを乗り越えて受け継いでいく若い人たちの物語を重ね合わせるという、ただアクション一辺倒でないノスタルジックな空気感をもったストーリーも良かった。
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