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満月、世界のkoheiのレビュー・感想・評価

満月、世界(2023年製作の映画)
4.5
11月に入ってから下北沢のK2で観た。10年かけて監督が地元の長野を舞台に子どもたちを撮影する「刻」というプロジェクトから生まれた2つの短編が上映されていて、「刻」自体は2030年に公開予定らしい。果てしない。2つの短編、そのどちらもが10代のあるひとりの女の子をつぶさに追いかけるような映画で、どちらも最後にささやかなクライマックスが用意されていてグッとくる。僕は中学生のとき、所属するバスケ部の活動が嫌すぎてサボって、でも親にはそのことを言えなくて、近くの公園にある公民館の軒先みたいなとこ(開いてなかったので外)で6時間くらい待機していたことがある。誰もやってこない橋の下で突然、激しく踊り出す彼女や、親が帰ってくる前のベランダで小さく口ずさむ彼女を見て、そんな日々のことを思い出した。小さな躍動の記録と、喚起される記憶がある。
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