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ベテラン 凶悪犯罪捜査班のmaroのレビュー・感想・評価

ベテラン 凶悪犯罪捜査班(2024年製作の映画)
4.0
2025年日本公開映画で面白かった順位:23/42
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

『ベテラン』シリーズ第2作目。
韓国映画が誇るあの熱血刑事が10年の時を経て帰ってきた!
連続殺人事件に立ち向かう凶悪犯罪捜査班の命懸けの戦いがスリリングで見ごたえ抜群!
テンポもいいし、迫力あるアクションもあって面白いんだけど、正直、個人的には前作の方が面白かったかな~。

前作でソ・ドチョル刑事(ファン・ジョンミン)が見せた執念の捜査と他を圧倒する正義感。
巨大権力にも負けずに己の信念に従って突き進むその姿に惚れた人も多かったはず。
かくいう自分もそのひとりだ。
でも、その熱さを期待して行くと「今回はちょっと違う方向に舵を切ってきたぞ?!」と感じるだろう。

そもそも、この『ベテラン』シリーズのような構図は韓国映画ではお決まりのパターンだ。
5人ぐらいの班の中で主人公だけが規格外で、上司がその尻ぬぐいでいつも泣きを見るっていう型。
このパターンでここ数年で人気を得ているのが『犯罪都市』シリーズ(2017-)。
マ・ドンソク演じるマ・ソクト刑事のチートじみた強さがその人気の最大の秘訣である。
今回の映画は前作の公開から10年経ってるんだけど、その間に出てきた『犯罪都市』シリーズにそのポジションを取られた感じは否めない。

だから、作品の方向性を変えたのかもしれない。
今回のソ刑事は少し抑えめになっていて、その分チーム全体にスポットを当てていたように感じる。
これはこれでアリなんだけど、どうしても『犯罪都市』シリーズと比べちゃうので、主人公のインパクトがより弱まってしまう。
また、本作ではコメディ要素もちょいちょい差し込んでくるから、シリアス一辺倒だった前作の空気感を期待していると少し肩透かしを食らうかも。
逆に言えば、重すぎずテンポよく楽しめる刑事モノとして観やすくなっている部分はあるんだけど。

とはいえ、前作より面白みが減ったというだけで映画自体は楽しめた。
不条理な司法制度によって刑が軽いのではないかとされる犯罪者たちが「ヘチ」と呼ばれる謎の人物によって次々と殺されていく。
ヘチの人気はSNSを通じて爆発的に高まっていくけど、当然、殺人にいいも悪いもないので、ソ刑事たちはヘチを追っていくわけだ。
新人刑事パク・ソヌ(チョン・ヘイン)によるスリリングな追走劇やキレッキレの格闘シーンは迫力満点で、それを観るだけでも映画館に足を運ぶ価値はある。
そして、事件の真相に近づいていく中で明らかになる驚愕の真実!
これはぜひその目で確かめてほしい。

そんなわけで、韓国映画らしいテンポのいい展開と続編を匂わせるオチは総じて満足。
ヘチの動機までちゃんと描かれていたらもっとよかったんだけど。
『犯罪都市』シリーズを意識することなく、前作のようにシリアスな雰囲気の中でソ刑事の熱血さを爆発させてくれた方が個人的には好きだったなあ。
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