がちゃん

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メイン・テーマ(1984年製作の映画)
2.9
1984年制作の角川映画です。
現代の若者が鑑賞したら、なんじゃこれと言いたくなるような内容の作品かもしれません。

幼稚園の教諭をしていた、しぶき(薬師丸ひろ子)がある事由が原因で退職。
妻子持ちの男、御前崎(財津和夫)を追うようにして、偶然出会ったマジシャン志望の青年、大東島(野村宏伸)とともに大阪へ向かうしぶき。

御前崎は、ジャズシンガーの雅世子(桃井かおり)とも関係があるような雰囲気。
しぶきと友達以上で恋人未満のような関係だった大東島も雅世子に惹かれているようで、舞台を浜松、大阪、沖縄へと移しての恋の駆け引きが始まる・・・

一応あらすじはこんな感じであっていると思うのですが、展開に無理がありすぎです。
偶然がここまで続くと何でもありじゃないかと思うような展開です。

主要人物が揃いも揃ってまあ、大阪で再会するのは百歩譲ってあるかもしれないでしょう。
しかし唐突に沖縄で再会するのはもう少し設定を工夫しないとダメ。一気に興ざめしてしまいます。

演者も、まあ桃井かおりは相変わらず上手いと思いますし、薬師丸ひろ子もらしいかわいらしさでいいと思うのですが、男優陣がポンコツ揃い。

大東島を演じた野村宏伸は、厳しいオーディションを合格した逸材ということだが、太い眉毛がやけに目立つだけで大根。
優柔不断の中年男、御前崎を演じる財津和夫も、まるで演技になっていなかった。こんなオファー断ってほしかったですね。

この作品は80年代をリアルにわかる世代じゃないと、いいところが見いだせない残念な作品になってしまいました。

薬師丸が着ている袖口の大きくあいた半袖のシャツ。車に搭載されているCB無線。お洒落の最先端だった神戸ポートピアホテルと六甲山の夜景。沖縄万座ビーチホテル。
助演の、太田裕美、渡辺真知子、戸川純。
それらの背景に懐かしさを覚える世代限定の作品ですね。

監督の森田芳光の演出もカッコつけすぎてて、もはや痛いレベルに入ってしまっている。
主人公二人がラブホテルに入ろうとしたところで渋滞に捕まってしまったシーンなどは、フェリーニを気取ったか。

時々上出来な四コマ漫画みたいにいいセンスを感じるシーンがあるだけに、技巧に溺れてしまったのかな。

あ、オープニングでのしぶきの幼稚園でのどつき漫才(?)は呼吸もよくまったく予期しないシーンで笑えました。ここが本作のベストだったかも。

酷評しましたが、私的には懐かしさいっぱいの作品なのですけどね。
薬師丸が歌う主題歌『メインテーマ』が美しい。
♪愛ってよくわからないけど
傷つく感じが素敵
がちゃん

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