mitakosama

森の石松鬼より恐いのmitakosamaのレビュー・感想・評価

森の石松鬼より恐い(1960年製作の映画)
3.4
スカパーにて。森の石松を題材にした清水の侠客もの。かなり亜流な作りだ。
錦之介が「任侠清水港」と同じく石松を演じる。

だが冒頭がなんと現代!錦之介は森の石松の舞台の演出家を演じる。
丘さとみが演出助手ふみ子。山形勲が証明の長さん。進藤英太郎が劇場支配人。鶴田浩二が寿司屋の出前だ。
錦之介演じる演出家は、今までに無い石松の舞台を作ろうと四苦八苦しスランプ状態。立ちゆかなくなり眠しこんだら、朝には自身が森の石松になっているという展開。

演出家だった記憶があるので石松になっても動揺しまくり。周りからはキチガイ扱いされちゃう。
そして夢に中の東海道では、丘さとみが恋のおふみ。山形勲が次郎長。進藤英太郎が都鳥の吉兵衛。鶴田浩二が小松村の七五郎に転成してる。
現代劇では各々キャラを変えていたが、時代劇モードになったら全員お馴染みの演技に様変わりだ。

キチガイ扱いされて次郎長から金比羅さんに参るように命令される。だが演出家としてはこの旅路で吉兵衛に殺されることを知っているから気が気じゃ無い。
それでも石松として史実に則って行動し、気がつくと石松に成りきって行動してる。
旅の途中で預かった子供を、最初は面倒くさがるが途中から情がわいてくる。この石松の子供に対する心情の変化で、演出家から石松への変化にリンクさせしているのが上手い。

スランプ演出家の夢として始まった物語だ。当然夢から覚めてスランプを脱するというラストは容易に想像がつく。だが、コメディ色の強い今作で石松の死までをちゃんと描いたのは意外だったな。

多分今作を作るにあたり、実際に新しい石松像を構築しようと苦心した上でこういう映画になったんだろうなぁ。
mitakosama

mitakosama