もう題材から好きな映画。とても楽しみにしていた。
まず、広瀬すず。完全に覚醒していて素晴らしかった。画面上で目が離せず、虜になってしまった。もう「クリスマスイブ」の頃の可憐な姿の片鱗はなく、艶やかだった。脱帽。
岡田将生の小林秀雄、期待せずにはいられなかったけれど、円熟みを増した演技力と存在感、こちらも釘付けになった。色気があった。
初めてスクリーンでみた木戸大聖、あの気恥ずかしくなる中原中也の厨二病ぶりを体現。存在も台詞も臭くて演技力に難ありなのかと不安になったのは一瞬の誤りで、後半にかけてなんかもう、あの「汚れちまつたかなしみに」で教科書に載っている、あの肖像まんまだった。驚いた。
詩、なだけに臭い箇所も満載だったけれど、レトロな世界観と衣装、三角関係の縮図、男たちの青さを描き切った脚本、とてもよかった。