2024年も邦画をあまり観なかったので、締めで観ておくか、と義務感?にかられて観たが…なにこれ傑作じゃん…!?
ホントにあらすじも何も知らず、先にドラマになっていることも知らないのはもとより、原作が平野啓一郎だと思い込んでいた(それは『本心』のほうだった…)くらいで、ただ「脱走した死刑囚が逃亡中、彼の本当の姿を知らない人と何らかの関係を持ち、正体がバレてふたたび逃亡する」という、大昔のアメリカのドラマの『逃亡者』と似たような話かと思っていたら…いや確かにそんな話なんだけどw
彼を追っかける冷徹な刑事もいるしなあ。
ともあれ、当然原作は読んでないが、多分逃亡先で彼と関わった人たちへの聞き取りと証言を中心に構成されているのではないかと推測するが(映画冒頭で、全く同じ画角の取調室でそれが示される)、この映画は、その内容を時系列に沿いながらも大胆な編集によって、逃亡するもののど根性としか言いようのない蓄電の軌跡と、追うものの心理の揺れを巧みに描く。
僕は、そもそも主人公が本当に冤罪なのかどうかも知らず、「もしかして『半落ち』みたいな話…?」と思ってたくらいなので、山田孝之演じる刑事、そして彼と知り合い、結果彼に良い影響を受ける人々と完全にシンクロしながら観ていた。
森本慎太郎演じる元ドヤ街仲間の彼の部屋が映るたびに徐々に綺麗になっているのに泣けて泣けて…w
それにしても横浜流星、やっぱりいい役者だなあ。というか、ホントに彼が全部の役をやってるのか…いや、確かに声は同じだったけど…??w
『流浪の月』の時のモラハラサイコ男、『僕は線を描く』のときの繊細な大学生…いやはや、これは今回の大河、観るしかないかも…。
あ、あと大晦日に観たので、「松重…てめえだけは許さん…!」という気持ちが、その後の『孤独のグルメ』でほんわりと雲散したのでよかった。
追)
冤罪事件と警察捜査のリアリティについて、割とどうなの、という意見もあるようだが…いやあ、現実の神◯川県警とか北◯道警とかの失態、ヤバさを考えるとありえない話じゃないんじゃないかなあ…と。
袴田さんの冤罪事件だって、日本の自白主義がもたらしたものだろうしねえ。