fky

HAPPYENDのfkyのレビュー・感想・評価

HAPPYEND(2024年製作の映画)
3.5
北野武っぽい映画と聞いて見に行ってしまったため、あらすじがキッズリターンっぽいってことだったのか!やられた!と素直に思ってしまった。どちらかというと「台風クラブ」だった。担任の先生あれ、中島歩?!全然わからなかった(すごいですね)。

全体的に突拍子のないことは起きないし、あくまで「普通の大人と子供」の間の物語なので、あまりインパクトを求めるのはよくないが、ストレートなクライマックスか、愛おしい日常シーンか、どちらかは欲しかったように思った。シーンとプロットのアイディアは面白いが、ちょっと物語の没入度は低め。群像劇特有のノレなさを孕んでいる。

5人のグループがどんな構成になっても微笑ましい空気感が醸し出されるのがとても良い。ジェンダーを問わずストレートな愛情表現が出来たり、友達の恋愛を素直に応援したり、あと親があまりノイズにならない所も望ましい。一方で高校側の体制はものすごく旧式で、大人たちの理屈の連発にストレスがたまりまくるのだが、ある種「普通の学校に生まれた多様性の物語」を描きたいのだと納得した。コウの「もうヘコヘコしなくて良いんだよ」というセリフのあと、町内会の人の見回りに合ってヘコヘコと頭を下げるシーンは良かった。

ただこう言ったバランス感覚は紙一重な感じで、逆に言うとあの野球部のキャプテンはただのギャグで落とす要員にするのは可哀想な感じもする。ここもやはり主観客観の線引きが少し甘いせいなようにも思える。2本くわえたタバコの1本をあげるシーンとか、ものすごく愛おしいけど。

公開前から注目され、観客のテンションがジワジワ上がって来ているタイミングで観れたのは大変良かった。Filmarksのタイムライン表示がいい仕事をしている。

(追記)
首都高っぽいけど見覚えのない景色だなーと思いながら観ていたけど、ロケ地は神戸が多いのかな。

全体的に夜を明かして明け方登校というパターンが多く、みんな元気だなと思った。若者らしさを追体験できて良い。

個人的には「近未来では地震が日常的に起きる」という変化にノレない。大地震の前震が長期間続いているということ?それに納得できる流れが感じられない。
fky

fky