新自由主義が加速する今あらためて観ると、サッチャー政権下のイギリスの炭鉱労働者たちの状況への理解が深くなった。
デモ、ストライキ、ロイヤルバレエ団のエリートと思われる人からの「ストを支持します」の言葉。
そんな背景や、社会的な性別イメージがまだ刷り込まれていない11歳のビリーの、ダンスが好き・踊りたい——が全身から溢れている様に、なんならスクリーンから溢れてきそうなのに心を揺さぶられる。踊ってるだけで泣ける。
本作で映画デビューというダルドリー監督が、100本以上の舞台を手がけていたというのに納得。
道、バレエ教室、ステージ。限られた場所を上下に効果的に使うことで、ものすごい躍動感を出している。どの画角も素晴らしい。
そして音楽! T-Rex、The Clash、The Jamが、その曲しかハマらない箇所で使われていて泣けた。
振り付けのピーター・ダーリングさんがこれまた素晴らしくて、ゴダールの「Bande à part」のダンスを越えたんじゃないかと思う。とにかく泣いた。