ビンさん

知らないカノジョのビンさんのレビュー・感想・評価

知らないカノジョ(2025年製作の映画)
3.0
三木孝浩監督作品は、けっこう好きで新作が公開されると観に行くようにしている。
ベースはラヴ・ストーリーなんだが、ひねりの効いたストーリー展開だったり、ヒロインにいい俳優さんをキャスティングしたりして楽しませてくれるので。

今回もベースはラヴ・ストーリー。
でも、そこにSFチックなテイストを盛り込んでいる。
大恋愛して結婚したリク(中島健人)とミナミ(milet)。
リクは書いたSF小説が大ヒットして売れっ子作家になって、ミナミとの仲も冷え切ってしまう。
ある日目覚めると、リクは出版社の社員に、ミナミは人気シンガーソングライターになっていて、二人は他人であった。
別世界に迷い込んだリクは、果たして元の世界に戻れるのだろうか。そして、ミナミとの関係は如何に、というお話。

あら、これもマルチバース物か。
ほんとに多いよな、マルチバース。

開巻早々、近未来のSFアクション映画か、と思ったらリクの書いた小説の再現シーンで、けっこうこれが見せる。
三木監督、ラヴ・ストーリーも好きだが、あいかわらずSFも好きだなぁ。

楽しく観れたけど、ラストの処理が・・・そこがマイナス点か。

ただ、劇中で桐谷健太さんが演じるリクの先輩が登場するんだけど、彼がいいこと言うんだよ。
違う世界から来たリクの唯一の理解者で、ミナミとの関係性で困惑するリクに、自分が今いる世界をしっかり受け止めてどう生きていくか、それが大事だ、みたいなね。
この先輩も実は辛い事態に直面していて、物語のいいスパイスになっている。

これでラストがもう一捻りあったらなぁ、と。
ミナミを演じるmiretも本業はシンガーだろうけど、意外と演技も良い。
それだけにつくづく残念この上ない作品だった。

本編のクレジットを観て、本作が2021年のフランス映画のリメイクだということを知る。
オリジナルのラストもあんなだったのかな。気になるところではある。
ビンさん

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