ヨーテボリ映画祭にて。
極右に傾倒していく長男を止めようとする父親の姿を描く悲劇。いつものことだがヴァンサン・ランドンの丁寧な演技が刺さる、ベネチア主演男優賞受賞。
息子役にヴァンジャマン・ボワザン、ステファン・クレポン(二人ともフランソワ・オゾン監督作に出ていたね)
妻を亡くし、鉄動員の仕事をしながら一人で息子二人を育てる父の視点から描いているので、長男フスがなぜ極右に傾いたのかは描かれず、友人関係やネット使用状況から匂わせる。
父ピエールは彼なりに息子を危険な方向に向かせないようにしたが…
これ辛いのが、確かに長男は優秀な次男と正反対でワルッぽいところがあるが親子関係も兄弟関係も悪いわけではない、むしろ良い方なので、父も普通に品行を心配しつつも長男の友人を見るまではわからなかったんだろうな、ということ。
過干渉もよくないし、息子を個人として尊重しようという思いもあったのかもしれない。
でも後々思い返して見ると(こじつけにもなりかねないが)、社会を斜に構えて見ていたり、サッカーで卑劣なファウルをひっそりやってたりする。
単なるイキがった若者の行動でもあるので簡単には結びつけるべきではないと思うが、その辺の、親から見た時の「わからなさ」もチラチラとちゃんと描いているので、余計にピエール側の心情が想像できてツラい。
多分なんとかなるだろうという淡い期待は打ち砕かれた。
長男視点ではないので、なにがどうやって起こったかははっきり描かれないが、その結果起こったことはピエールと同様観客も知ることになる。
終盤のヴァンサン・ランドンの演技が感動と言うよりは苦しくて胸を打つ。
ストーリー自体には真新しさはないがとても良かった。
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