【心の奥底に潜む異なる自分への憧憬】
ジャンルとしてはホラーらしいが実は怖くはない。
でも、よくよく考えると本当は怖い作品だ。
この映画「STRANGERS」の示唆するものはなんだろうか。
(以下ネタバレ)
映画を観終わる頃には、もしかしたら新手の解離性同一障害(多重人格)を扱ったのかと、ふと考えたりしたが、それは違う。
誰もが持つ二面性。
誰かに憧れることも多くの人に共通のことだ。
外見を変えようが、対象と同じになれるなんてことはないのに極力似せてみたり。
そして本来の自分と、似せようとしている対象と同じになったのではないかと錯覚している自分の曖昧な境界と曖昧な領域。
そんな曖昧な境界が領域となって広がってしまったら人はどうなるんだろうか。
異なる自分への憧憬と共に本来の自分自身を保てるのだろうか。
或いは、本来の自分自身ということさえ曖昧になってしまうのだろうか。
実は、こんな人は存外に多いんじゃないか。
まず、ファッションやメイクから初めて、フリまで真似してみて……とか。
そんな状況を容易にしたのは明らかにインスタやYouTubeなんかのSNSの登場だ。メタバースのアバターは似ても似つかないなんてこともあるだろう。
ストーリーを追いかけるより、その背景をよく考えてみて、現代社会に潜む闇が怖くなる作品だと思う。
現代社会に潜む怖さの断面を垣間見た気がする。