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名もなき者/A COMPLETE UNKNOWNのhatoのレビュー・感想・評価

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(2024年製作の映画)
4.3
ジャパンプレミアにて

スクリーンにいたのはボブ・ディランを演じるティモシー・シャラメではなくてボブ・ディランだったと思う。彼特有のダミ声は再現性という言葉を使うことすら不適切なほどボブ・ディランそのものだった。

周りの全てがシャットアウトされるかのように聴き入ってしまう彼の歌声が2時間と少しの上映の中にこれでもかと詰め込められてて感無量。あまりにも歌唱シーンが多いものの、ボロ布を着た青年がスターダムを駆け上がるストーリー、偏屈な性格、ボブ・ディランの半生が当時のまま描かれているのだと思わされた。

歌声以外に特に印象に残ったのは衣装かと。マンゴールド監督の細部までのこだわりが感じられる。キャラクターのタイミングごと心情やポジションを表現するのも衣装の力が大きい。他にも作品に対するこだわりや周りを固めるキャスト陣の怪演でアカデミー賞8部門ノミネートも納得。

日本でも流行るんじゃないかなー。昨今の日本国内の洋画の衰退に対して、何かいい方向に転ぶ分岐点となる作品かもしれない。
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