デヴィット・リンチ監督追悼上映。大傑作。惜しい。
ハリウッドでこの映画に出資するやついるんだ!ってレベルでハリウッドの寓話。最高のオープニングから、少しずつハリウッドに喰われていく。資本主義や自浄作用のない業界、プロデューサーからの芸術家への圧力など、多岐にわたる問題提起。
ベティとリタの二人はキュビズム的な主人公たちとして、ハリウッドの光と影を体現します。圧倒的才能によって見出され、悲劇的に貪り尽くされ、消費される。
最後には我々視聴者にもその責任を追求して幕を閉じます。
しかし、物語中盤の劇場でのワンシーン、彼女たちを体現する赤と黒を纏った歌手が登場します。ハリウッドによって消費された先では、やつれて倒れてしまうかもしれない。しかし、その歌、映画、芸術は絶えるわけではない。歌声は反響し、その芸術家が死んだ先でも私のような観客の涙を流すのだなあと思います。