【2階、こわい?】
ホラーが苦手なのになんでか新作が公開されると観てしまう。
ホラー映画に関しては口コミとか知らずに偶発的に恐怖体験をしたいのです。
という訳で結構楽しみにしていた作品だったので鑑賞。
(因みに公開初日とかに見れなかったので口コミガンガン知ってしまった状態です、残念)
ジメジメとした古き良きJホラーという感じでした。
個人的には結構「恐い」を感じられる映画に仕上がっていたかなと思います。
本作もそうですが結局Jホラーは「場所」についての恐怖を感じるのが一番気持ち悪いのかもしれないです。
『呪怨』『リング』『残穢』などなど、結局その場所に昔からある曰く付きの”なにか”が恐い。
そしてそれを遡る時間の長さが長ければ長いほど、後戻り出来ない絶望感に恐怖を覚えるのだと思います。
本作もそういった類の作品だと思います。
山に捨てられた物たちに宿っている怨念が長い時間をかけて蓄積されていき、そこに来る人々を見境なく巻き込んでしまう。
このロジックの無さが個人的には恐かったです。
本作、観てても結局何が原因かもどうやったら解決するのかも、登場人物たちが解放されたのかもわからない。
もっと言えばひなた君の事だったなにも話は進展していない。
ただ、友人である司だけがいなくなったという事実だけが残る。
ピースは大量にあつまっている感覚があるのに絵柄が何も出来上がってこない感覚を久々に味わえるJホラーだったんじゃないかなと思います。
主人公である敬太は結局何者なんですかね。
一番不可解なのは何故母の死を見逃したのか、ですよね。
気付いていたのに見ないふりをしたなら一気に怪しくなるし、本当に見えてなかったのなら彼は何かに憑りつかれている感じがするし。
敬太が家族に対し「演じているみたいだった」と言っていたのが凄く印象的で、僕は本当に演じていたんじゃないかなと思いながら観ていました。
それは血縁関係がなくて、家族であるけど繋がりを感じない、の様な事なのかなと感じました。
中盤、民宿の兄ちゃんが話し出すおばあちゃんの話。
この話も、生理が来なくなったおばあちゃんから生まれてきた母、自分はいったい何なのか、という自分の存在について恐怖を覚えている話だと理解しました。
きっと敬太もそうだったように感じました。
民宿の兄ちゃんも敬太も、本当の家族というものに不安を覚え、その思考が止められなくなり、想像の何かを生み出してしまい、それに囚われてしまっている。
この2人だけ山から視線を感じる描写があります。
誰かに見られている。そんな錯覚を生み出してしまっている。
そんな得体のない何かに呑み込まれた人たちがあの山では消えていっているのではないかと感じました。
敬太が帰って来れたのはなんでなんでしょうね。
司が帰って来れなかったのはなんでなんでしょうね。
きっとここに答えは無い気がします。
けど、きっとここに尾ひれはひれがついて口伝されていく。
そうやってまた得体の知れない何かが形成されていく。
考えだしたらキリがないですね。
民宿の兄ちゃんが言っていたとおり、「考えるのをやめる」事が恐怖を感じなくて済む方法なのかもしれないです。
【その他メモ・独り言】
・本作好きな人は「近畿地方のある場所について」も好きそう。
・近藤監督、先週観た「飯沼一家に謝罪します」に出てたから謎に親近感。
・ビデオカメラの映像がぐわんぐわんでめっちゃ酔った。