このレビューはネタバレを含みます
近藤監督は「今回の恐怖の対象は『恨み』や『呪い』といったものでは全くなく、ただただ怖いもの、抗いようのない“恐怖”そのものにしよう」とミッシングチャイルドビデオテープを作ったらしい。
「怖い」が好きって、それはグッとくるとかキュンとくるとか、そういう感覚。その点この映画と「怖さ」の趣味が合っていた。部屋の隅の暗がり、背後の暗闇、夜に外から見上げた2階の窓、灰色の山、階段の奥。なんとなく怖い、もしかしたら何かいるかもしれない、見えるようで見えない。キュンときますね。
神を捨てる山というJホラーならではの設定。弟は敬太に捨てられたとしたら、敬太「父さんと母さんは、俺が弟を殺したと思ってる」とも繋がる。
「熊よけ」
「……悪魔よけ?」
冒頭のシーンから、時たま、おそらく「山」が近くにいる時に、熊よけの鈴がなる。あの音が鮮烈。
ビデオテープは、雑音と酷い解像度の映像で、ソレが見えるかもしれない恐怖感が付き纏う。会話の挿入、カメラワーク、視点の切替で飽きさせない。ずーっと見ていられる。ずーっと怖い。なぜ敬太は、弟が失踪した部屋の隅に行かなかったのか。行けば、弟が落下事故で死んだと確認できたのに。母が出現するのも部屋の隅、死ぬのも部屋の隅。
「2階、怖いの?」
「いや、べつに」
主人公と主人公の同居人の司の会話、登山部の音声テープがリンクした瞬間。
弟がいなくなるのも2階、母が死んでいるのも2階、新聞記者が引き止められたのも2階に行く前。
「敬太くんを摩白山に行かせてください」
電話から謎の声で「会いに行ってあげたら」
「山」の声か。
最後の視点。民宿の息子を山から覗く視線、主人公を後ろから見つめる視線。2人ともその視線と目が合った瞬間に、なにか喋っていた?笑っていた?
敬太が弟の失踪事件について司に伝えていなかったことを謝るシーンで敬太と司の関係性が示唆される。
<母親が登場して花瓶が割れるシーン>
<ボールがころがってくるシーン>
<防犯ブザーがなるシーン>
<民宿の息子の語り部シーン>
<敬太が1人で山を登るシーン>
「山」からなる熊よけは、聞こえる人と聞こえない人がいる。聞けば失踪とか、聞こえなければ失踪という、パターンも特にない。
なんで記者はそんなに摩白山に行きたがるのだろう。記者に憑いてるのは何?何が彼女の手を掴んだの?彼女は敬太たちと関係があるのか。
「敬太、お前の弟は、ずっとお前の隣にいるんだ。だから、あれは弟じゃない。そっち行くのはやめろ。」て言うのが遅すぎる。司の優しさだったかもしれない、この体質は嘘が増えると言っていたし。