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悲しみは星影と共にの一人旅のレビュー・感想・評価

悲しみは星影と共に(1965年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ネロ・リージ監督作。

二次大戦時ドイツ支配下のユーゴスラビアを舞台に、戦争に翻弄されるユダヤ人姉弟が辿る運命を描いたドラマ。

ユーゴスラビアが舞台の戦争悲話だが、製作はイタリア(言語もイタリア語)。主演はチャールズ・チャップリンの実の娘で、『ライムライト』(1952)『ドクトル・ジバゴ』(1965)『カラスの飼育』(1975)のジェラルディン・チャップリン。イヴァン・ヴァンドールの哀愁漂う音楽が印象的。

ナチスによるユダヤ人弾圧を背景にしており、ユーゴスラビアの片田舎に暮らすユダヤ人の姉レンカと盲目の弟ミーシャを待ち受ける悲劇を、レンカとパルチザンの青年の愛+レンカとミーシャの姉弟愛+姉弟と父親の親子愛を交えながら描き出す。

盲目のミーシャを必死で守ろうとするレンカの愛情が胸に迫る。ミーシャは盲目なので自分の置かれた状況を理解できない。戦争が起きていることを知らないし、ドイツ軍が町を占領していることも知らない。もちろん、ユダヤ人だから弾圧の対象になることも知らないし、町を通過する列車がユダヤ人を輸送するためのものであることも知る由がない。『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)でロベルト・ベニーニ扮する父親が息子につく嘘のように、レンカはミーシャを安心させるため優しい嘘を語りかける。知らなくていい大人の世界を最後まで悟らせないよう努めるレンカ。ミーシャに対するレンカの深い愛情が哀しくも感動的である。

主演のジェラルディン・チャップリンはやや硬さのある演技だが、ミーシャを演じた子役フェデリーコの盲目の演技は出色。戦争の惨禍と不釣り合いな素朴な可愛らしさも印象に残る。
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