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アット・ザ・ベンチのSembのレビュー・感想・評価

アット・ザ・ベンチ(2024年製作の映画)
4.0
とある河川敷のベンチに幼馴染の男女が二人。ある時は恋人同士と他人、ある時は姉妹、ある時は架空の存在。あるベンチを巡る、人間模様を捉えた全五章立てのオムニバス映画なんだけど、とにかくキャストが粒揃い。広瀬すず、仲野太賀、岸井ゆきの、荒川良々、岡山天音、今田美桜、森七菜、草彅剛、神木隆之介、吉岡里帆...若手を中心に主役級の俳優が目白押し。自主制作映画の規模感でこのキャスティングは凄まじい。絶対裏で大きな力が動いているような気がする。やっぱり世間でもバズっているようで、札幌シアターキノが若い人を中心に満席となった景色を見て、かつてサツゲキを若者でパンパンにした「愛がなんだ」を思い出す。
映画はコミカルな部分もあり、魅せるカットもあり、えっ!と意表もつかれたりと、エンタメ的な面白さが万歳で、オーバースペックな役者パワーも相まってとにかく楽しい。特に広瀬すずの透明感は本作では出色の出来。ベンチ上の二人の距離感なんていうアナログ的なコミュニケーションの良さも再確認。
ただ、この映画、この俳優パワーが無かったら面白かったのか?と疑ってみると、やっぱり出来の良い自主制作映画レベルに止まり、画面や台詞を超える何かは受け取れない。どうやら弟らしい奥山大史監督の「ぼくのお日さま」の方がやはり良い映画だったかな、とは思う。(兄弟だからって比較するのはナンセンスだけど..)。
普通に見ていて楽しいのでおすすめです。
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