みや

アット・ザ・ベンチのみやのレビュー・感想・評価

アット・ザ・ベンチ(2024年製作の映画)
4.5
バラバラのエピソードを重ねながらも、ゆるやかな継続性を持たせて、首尾一貫で締めくくるという構成。
とても好みの映画だった。
ベンチのロケーションがまた絶妙。
目の前に広がる風景を見ると、ゆっくりと景色を愛でるために置かれた訳ではなさそうだし、設定の「取り残された」感が、納得できる半端さ。
けれど、傾いてオレンジ色が強くなった日差しに、何とも言えない寂寥感やほんのりとした温もりを感じて、特別にステキな場所にも見えてくる。
どのエピソードも、それぞれ脚本された方々の持ち味が出ていて、とてもとても面白かった。
エピソード1の生方美久は、やっぱりセリフ選びがとても自然で、広瀬すずは素でしゃべってるのではないかと思わされるほど。
エピソード2の蓮見翔も、そこを突っつくかというセンスがさすが。
エピソード3も、はじめから根本宗子っぽさ全開で、それに完全にフィットしてる今田美桜が圧巻。
エピソード4は、「転」の部分を監督自らが担い、お遊びも楽しみつつ…という感じ。
そして、エピソード5で、再びの生方美久。ワンシチュエーションで、ほぼ動きもない中、普通のセリフの積み重ねで、観ているこちらの頭の中をフル回転で揺さぶってくる見事さ。
とにかく、いいバランスで楽しかった。
色々と味わえてお得感もあり、配信になったら、お酒でも飲みながら、また楽しみたいと思った。
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