チャブー

敵のチャブーのレビュー・感想・評価

(2025年製作の映画)
4.1
 「恋は遠い日の花火じゃない」…知ってる人は、思い浮かんじゃうよねー、あのフレーズ…
 
 モノクロで、文芸作品の出立ちで始まり、登場人物の心情変化などで、途中、色変わりすることも無く、物語は淡々と進む。でも、モノクロでも、春夏秋冬で、日差しや、空気感が違う、日本の四季が伝わって来るのはすごかったし、そのうつろいの中で、主人公が作る、いろいろな料理に、…腹が…減った…(あ!違う作品w)

 途中から、導入部とは、だいぶん変わって、不思議なトーンになるけど、実は、この物語の初めの方で為されてた、主人公の悲しい行為がための夢幻だった様にも思った。

 タイトルの「敵」が意味するものは、まずは、「人が避けて通れない、迫り来る老い(と、その性)」と思ったけど、一方で、「本当は、世俗的な欲望や性癖を抱えながら、(かつて)大学教授という、社会的ステータスの矜持、枷から離れられない、小さな自分」とも感じるところがあって、その辺を、粉から挽いて、美味しく淹れた珈琲を飲みながら、一緒に観た人と会話しながら、帰途につきたい良作だった。原作も読みたい。