トロント国際映画祭にて。

見ごたえあり。何かに似てるな…と観ながら思ったら「ニュルンベルグ裁判」のゲーリングと精神科医ケリーの関係に激似。
第二次世界大戦中、ナチスに協力し親ナチス政権の首相となり、戦後に裏切者・ノルウェーに対する反逆罪として処刑されたヴィドクン・クウィスリングの最期の数日間のドラマ。
クウィスリングと彼のカウンセリングを任せられた司祭のオルセンを中心に描く。
この映画はオルセンの手記を元にしているとのこと。

同じくエリック・ポッぺ監督の「ヒトラーに屈しなかった国王」の5年後が舞台の話。
第二次大戦期の北欧の国々の立場、いろいろ微妙だったんだなと映画で知ることが多い。

親ナチスで恐ろしい独裁的な政治家の戦後の姿と内面を、悔悟に導く司祭との会話を通して徐々にあぶり出していく感じ。

まあとにかくクウィスリングがふてぶてしく、証拠は出て死刑ほぼ確定なのに言い訳するわで不快キャラ全開、一方、この任務を引き受けたオルセンの複雑な心境、誰にも相談できず一人で抱え苦悩する姿は対照的。
二人の妻も対照的で善悪の考え方が全く違う。

必然的に会話が多くなるので字幕を追うのに必死だったが、その労力がきっちり報われる見ごたえある歴史ドラマだった。

作品紹介によるとノルウェーで裏切者という意味で「Quisling」が使われているらしい。