衝撃的な美しさ。
バレエはこうでなくてはという舞台。
ポール・マルクの跳躍はしなやかで、全てが軽く、一つひとつ柔らかな着地も素晴らしい。ロットバルトとの掛け合いは刹那的な、あってはならない美しさがあり心奪われた。
ジークフリートのまだ幼さが残り、閉じた感じが体から迸っており演技力にも魅了された。
パブロ・レガサのロットバルトは、マシュー・ボーン"眠り"のライラック伯爵に並ぶ色気と妖しさ。
ヌレエフ版なので男性ダンサーの活躍が目立つ。姫の物語ではなく、王子の白昼夢という設定も恥美。1幕の牢獄に閉じ込められているような舞台美術や3幕のロットバルトとのパドドゥがロマンチックで悲哀に満ちている。衣装も太めのアラベスク刺繍など、少しエキゾチックで豪奢なデザインがヌレエフらしい。
パク・セウンが登場した瞬間の芳醇たる煌めき、悲痛な出立ちに心が引き裂かれる。
32回転フェッテも絢爛な鋭さで魅入りました。
首から肩、指先にかけての使い方が美しい。パリオペは首が美しいバレエ団だと思う。
一糸乱れぬコールド、鳥肌が立つ。四羽の白鳥の端正なステップ、ポールドブラの優雅さ。
IMAXならではの迫力と映画のようなクローズアップ、俯瞰からの映像、ポワントや衣装の擦れる音までが鮮明に聞こえる力強さと臨場感。それでも舞台での表現には、それらを超えるものがあると感じる。