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どうすればよかったか?のbuddyのレビュー・感想・評価

どうすればよかったか?(2024年製作の映画)
3.2
《弟のとてつもない決断》
この作品は、監督である弟が家族が抱える大きな問題に正面から向き合ったドキュメンタリー映画だ。両親は研究者や医師として社会的な地位を築いてきた人物で、家の外観や生活水準からもその成功がうかがえる。しかし娘を統合失調症を患い、安全のためと南京錠で閉じ込め、病院にも通わせないという行動があった。一見すると虐待と捉えられてもおかしくない状況だが、一方で、娘が夢中になった占いには惜しみなくお金を出し、なに不自由のない生活を与えていた。親としての愛情が全くなかったわけではないように思える。

両親は世間的な体裁や自身の地位に縛られ、娘の病状と正面から向き合えなかったのかもしれない。そして、そんな両親の期待に応えようと、娘もがむしゃらに努力し、必死で両親の背中を追いかけてきたのだろう。

タイトルの「どうすればよかったのか」からも、監督自身が両親や自分の選択に対して後悔や葛藤を抱えていることが伝わってくる。それでも、弟は家族と向き合うことをやめなかった。家族の姿を包み隠さずカメラに収め、それを映画として公開するということは並大抵の決断ではない。

観ていて正直つらい内容だし「もし自分だったらどうするだろう」と考えさせられる瞬間も多い。しかしそこには大きな家族の愛、そして何より一般の家族像とは違うかもしれないが各々がしっかり生きた証が記録されていた。
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