借りぐらしのコブレッティ

藏の借りぐらしのコブレッティのレビュー・感想・評価

(1995年製作の映画)
3.9
降旗康男監督作品「鉄道員」で高倉健の去りゆく男の魅力を描ききった監督ですが本作。原作ありの映画化としては60点ですが、バブルスター松方弘樹の男の魅力映画としては120点です。
地主、酒蔵の主としてスケールの大きな男を演じる松方弘樹の半端ない説得力たるや…渋いバリトンボイスでたっぷりと間のある演技をする松方弘樹がたまりません。一人の男として息子を無くし混乱する様や病気をして少し元気がなくなる様子、娘に愛情持って接する父親など全てが素晴らしい。後半は烈演じる一色紗英に話が移っていくのでもっと松方弘樹と絡んでくれ!と思ってしまいました。
ですのでお話はドラマ版の方が丁寧です。烈の大恋愛もドラマの方が説得力あります。映画版は時間がないので5年10年平気で飛びますが、金かかってますので画面のスケール感は映画版が勝りますね。
ラストに烈の結婚を許し、回り道をしてしまったが好きだった浅野ゆう子にプロポーズして情感たっぷりのさだまさしの歌が流れるエンディング…いいものみました。
野暮ですけど松方弘樹の魅力を褒めているのであって本作にみられる昭和の価値観に対しては疑問です。本作がなぜ文部省推薦なのかさっぱりわかりません。