日本で劇場公開されない作品に逸品が多い。
派手なアクションや重火器に頼らず、
シンプルな芝居と、
映像表現の巧みさで、
普遍的なテーマを織りなしていく秀作のひとつだ。
まず特筆すべきは、その映像表現の美しさだ。
ルック、撮影機材や照明に言及する人も多いが、
その前に、
シナリオ、芝居で、
そのシーンで、
何を誰に届けるのかを共有する、
撮影場所、ロケ場所、芝居場をつくる、
カメラマンがカメラを置く、
美術装飾部、録音部、衣裳メイクも含めて、
アイレベルを決めて、
レンズ、絵の深度を共有する、
そして照明、F値、T値、
撮影部照明部、DITの腕の見せ所、
改めて、
芝居のどの動きで、
どの言葉で届ける演出なのか、
身体や動きの丹田、カメラのフォーカスポイントを共有する、
そんなチームワーク、
もちろん編集点にも影響してくる、
そして、
カメラワーク一つ一つに細心の注意を払い、
観客の視線を巧みに誘導する。
寄りや引き、ピントの合わせ方、
背景のぼかし方など、あらゆる要素が緻密に計算され、
それぞれのシーンに最適な映像が作り上げられている。
例えば、人物の表情をクローズアップで捉えることで、
心の奥底まで覗き込むような感覚を与えたり、
逆に背景をぼかして色彩だけで情報量減量して、
感情を表現したりするなど、その技法は多岐にわたる。
また、タイトルの出し方、画角の流動的な選択なども含め、
観客の気持ちを物語の世界へと自然に引き込むような工夫がされている。
本作は、単に映像が美しいだけでなく、
普遍的なテーマである「愛」を深く掘り下げている。
登場人物たちの心の動きが繊細に描かれ、
観客は彼らの喜びや悲しみを共感せずにはいられない。
she taught love。
銀河を救う時だ、
は、
スター・ウォーズ、
アレック・ギネスへのリスペクトは本作全体を貫くテーマを象徴しているとも言える。
それは、愛という名の銀河を救うために、
私たち一人ひとりができること、
そして、その戦いは私たちの身近な場所から始まっている、
というメッセージではないだろうか。