◆あらすじ◆
TSJウイルスが蔓延し、感染者がゾンビと化すようになったスペインで、マネルは自宅に身を隠し、生き延びる。しかし、食糧が底を尽いたため、マネルは姉の逃げた島を目指して海へと出立するのだが...。
◆感想◆
謎のウイルスの感染が広まり、人々が凶暴なゾンビと化す世界で主人公が生き延びようとする姿を描いた作品となっており、ウイルスの感染が少なかった時期から次第に広がっていく様子がリアルに描かれていて、政府などが事実を隠蔽したり、生き延びた人々が徒党を組んで盗賊と化すなど人の愚かさの部分が印象的でした。
主人公のマネルは交通事故で妻を失い、愛猫のルクロとともに寂しく暮らしていたところ、姉のベレンから連絡を受けて感染の増大を知り、国軍が避難指示する中でも自宅に立てこもり、生き延びます。ベレンの夫が軍人だったので事実を先んじて知ることができたという部分がとても嫌らしく、いかにもありそうで怖かったです。マネルは性格的に人が良く、生存者を助けようとするのですが、緊急時において彼の性格は危なっかしくてハラハラする行動が多かったように思います。
ほとんどの住民が避難した町でマネルが食糧を求めて他人の住居を荒らし回っている中で一人残されたおばあさんと出会い、協力していく姿は荒廃した町の中で心が和むエピソードとなっており、観ていてほっこりしました。
食糧が尽きるとともに町でも感染者が多く現れるようになって、マネルは姉の逃亡した島を目指してボートで海を進みます。マネルは大きな船に救助を求めるのですが、その船が他者から物を奪う盗賊集団のものだと分かり、逃亡を図ります。ここまでがストーリーの前半なのですが、あまり感染者が出てこずに大人しい描写が続いたので、少し冗長に感じました。
ストーリー後半となり、マネルが逃亡先の病院にたどり着いてからは感染者が一気に増大するとともに、海であった盗賊集団も襲ってきて緊迫感のある展開が楽しめました。逃亡先の病院はマネルの妻が亡くなった場所であることもストーリーに絡んでいて、病院の子供たちと共に生存するために命を懸ける姿に彼の並々ならぬ心情が現れていて良かったと思います。
ゾンビものとしてオーソドックスな展開ながら、終盤にはハラハラドキドキするものがあって普通に楽しめる作品だったと思います。残酷な描写を避けたのか、ゾンビの脅威を感じにくい部分があってもう少しえげつない描写があっても良かったように思います。
鑑賞日:2025年2月22日
鑑賞方法:Amazon Prime Video