ぺん

アラビアのロレンス/完全版のぺんのレビュー・感想・評価

4.4
4時間弱の完全版。長いなと思うけれど削るところも浮かばない。
広大な砂漠とラクダの列の遠景にうっとりするというか、行ったこともないのにノスタルジックな気持ちになります。

中東の覇権争いと、介入する西洋諸国の思惑。
そこで翻弄されたロレンスは英雄だったのか凡人だったのか?
冒頭、彼の葬儀のシーンで様々に語られる印象はどれも的を射ているようで違うようでもある。
子どもの頃に観たときは彼が自暴自棄になった(ように見えた)理由がわからなかったが、
ロレンスの繊細さと身に受けた仕打ち、それから自分が何者か理解してしまったのだと思うと…
納得はいくような。

制作された時代を思えばセクシュアル表現などはギリギリを攻めていたと思う。
支配者としてのイギリス軍もなかなか狡猾な描き方で、実際にはもっと酷いとしても…よく映画化できたなー。
ラストでバイクに追い越されるシーン、ピーター・オトゥールの眼差し。
砂漠は美しいだけではなく自然の中でももっとも過酷な、国と民族よりもベドウィンの部族主義が根強い場所。
そこに現実の中東問題にも続く時代の移ろいを感じた。
ぺん

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