田中元

アラビアのロレンス/完全版の田中元のレビュー・感想・評価

4.6
左右がばっさりトリミングされたVHSソフト版で一度は観たもののこれは映画館で観ないとなーと思いながら機会は何度もあるのに毎回タイミング逃して幾歳月、テレビではちらちら目にしながらもやっと劇場にてきちんと鑑賞。まあもう実に大画面で観ること前提のショットだらけ。陽炎の中からほとんど点のように現れる人々も砂紋もばっちり。とはいうものの今回はDCP上映で、傷があってもいいから70ミリフィルム版で観たかったなあ、というのが本音ですが、現在の日本では叶わぬ話です。肝心の内容については、とにかくいかに過去の自分がストーリーを理解してなかったか、さらには歴史をいかに知らないかがよーくわかりました。これは中東の複雑な事情を知らないから、というわけではなく、相変わらず中東情勢に疎いものの映画そのものをしっかり観てればわかるのです。数は観ていてもいい加減にしか観てないことがいかに多いのか。反省。さらにそうした事情を追いながらも歴史的出来事の羅列などでは全くなく、文化や思想の超えられない壁、あるいはむしろ、最初からそんな壁を超えるつもりなんてさらさらない大半の人たちの姿を背景に、ロレンスという人のアイデンティティの揺らぎ、分裂を見事に描く。「お前は誰だ?」と問われながらロレンスが答えないまま場面転換、なんてところはまさにそうしたモノを象徴するといえるのではないでしょうか。ということをどこかで読んだような気がして自分独自の感想ではないかもしれないがまあいいですよね、別に。