海野

アラビアのロレンス/完全版の海野のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

圧倒的映像美。
砂漠、太陽、映しだされる人々…等、どの映像も美しく目を奪われてしまいました。


イギリスからやってきた純粋な志を持った英雄が社会や人間関係等の様々な問題にぶつかり、最終的に血に濡れた殺戮者になってしまう。身近な人が殺されて激怒していた…人を大切にしていたロレンスが…
なんて残酷なのだろうと思いました。

ロレンスの神々しい白い民族衣装が泥や血で汚れていく表現がロレンスの心情とリンクしているようにも見え、ロレンスに着目して見ていると映画後半は心が痛いです。映画終盤に背中の傷の血で汚れるため、汚れの目立つ白い民族衣装はもう着れないという由の台詞を言っていたと思うのですが、この台詞、自分は穢れているからアラブに関わる資格はないという意味にも取れて印象的でした。そして彼の背中の傷は身体の傷でもあり心の傷でもあると思うと、苦しいです。 
そんな苦しみを持つロレンスも周囲の人間から見たら周りを巻き込む自分勝手な奴にしか見えなかったんだろうと思うと…

ロレンスが民族衣装をプレゼントしてもらって嬉しそうにはしゃいでいる場面が好きです。年齢にそぐわない幼い印象も受けるし、聖域的(?)な神々しい印象も受けます。それにしてもピーター・オトゥールは美しいですね。

ロレンスと対照的な黒の民族衣装を着たアリ。登場時は規律を守る冷酷な悪役でしたが途中からロレンスに対して献身的で優しさも持った人物に変化していくところが面白いなと思いました。ロレンスの変化と対照的なので。
海野

海野