ユーリカ

アラビアのロレンス/完全版のユーリカのレビュー・感想・評価

4.3
流し聞きしていた映画のテーマ曲プレイリストに「アラビアのロレンス」が入っていて、他の曲とは一線を画すオリエンタルな雰囲気に一瞬で魅了された。

いつかは観たいと機会を伺っていたが、ふと思い立って調べたら上映時間がまさかの227分。先日観たアベンジャーズIWが160分で「面白いけど長いよな・・・」と思っていたが、それを悠々と越えてきた。

冷静になって考えると、昔の映画にありがちな前編・後編に分かれるスタイル&本編前の音楽のみのシーンも含まれるわけだから、これだけが特別長いわけではない、と思う。でも観るのは現代なわけだし、長いものは長い。

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イギリス陣営の中でも変人扱いされ、アラブ人からも当然距離を取られていたロレンスだが、行動を重ねるにつれて立場や変化していくのが興味深かった。しかし、いかにも物語的な終末ではなく、きちんと史実に沿った(もちろん脚色はあるだろうが)皮肉的な展開で幕を閉じているのもよいと思う。
高校の世界史の授業で感じた、イギリスの外交政策に対する憎たらしさが久々に呼び起こされた。現地の人々への興味のなさがすごい。

全編を通して、生活が常に死と隣り合わせである感がひしひしと伝わってくる(もちろん現在とは事情が違うけれど)。先日、アラブの首長が著した本を読む機会があり、その中で「国民の中には諦念的な運命論者で、自ら行動しようとしない者も多いが、何とか努力してほしい」と述べられていた。確かに、自然や戦争といった外部の影響力が極端に大きい期間が長かったら、行動前に諦める癖がついてしまうのも、やむを得ないかもしれないと少し思った。

他にも、最終的にロレンスと仲良くなるアラブ人のキャラが良いとか、各人の台詞一つ一つは短いもののどれも示唆的であるとか、機会があれば是非あらためて見返したい。長いけど。
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