このレビューはネタバレを含みます
前半は結構好き。後半は、うーん……という感じだった。
怖さ不気味さを期待して観に行ったところがあるので、(監督はサービスシーンとして入れたという話をされていたが)銃撃戦オチじゃなくて気持ち悪いまま投げる方が好みではあった。どこにいても見張られている不信感とか、主人公の追い込み方も期待してたほど新しくなかった。
でも、冒頭シーンから観ている人間としてじわ〜っと感じる居心地の悪さみたいなものがすごい良かった。
普段BLと銘打っているドラマとかって進んで観ないのだけど、この作品ぐらいの加減だとめっっちゃくちゃ好き。恋愛に結実しきらず漠然とした欲望に終わってるところが絶妙で、手の甲に水滴の落ちるシーンといい、表現の仕方が監督の狙った通り、直接的な描写よりもエロティックだった。勉強になる。
水の使い方の話も面白かった。
柴田が、悪いことしてるイメージが一番ない人の良さそうなおばあさんだったのが逆に不気味だった。個人的に老人への暴力って大地雷なんだけど、老人を殺す精神って他とは違う怖さが一つある気がする、なんとなく。
初めから主人公って「なんか危ういな」ぐらいのヤバさがあって、最初から"始まってた"ようにも思うけど、最初の居酒屋で叫んでた男のように(このときはまだ完全に他人としての「やばい人」)、最後には主人公がなってしまう(割と主観寄り)感じがストーリーとして綺麗だった。
魚豊先生の「大学生って、良い!」って話が超感情こもってて面白かった。今のうちに暇を持て余しつつ好きなことやるしか。ほんとに。