青二歳

わが道の青二歳のレビュー・感想・評価

わが道(1974年製作の映画)
4.0
「見捨てられる者」に迫ろうとする新藤兼人の社会派映画。
なんというか左翼運動家の材料にされた感もある"川村裁判"を描く。死亡した出稼ぎ労働者が"身元不明"として許可なく慈恵医大の解剖に使われた事件と裁判での戦いをドキュメンタリー風に再現。
青森開拓部落、昭和の出稼ぎにまつわる様々な社会問題を紹介するところから始まる。序盤の脚本演出はいい。貧困と性をエグく描いています。

しかしその後ドキュメンタリー風にしちゃったのがこの映画の大きな失敗。乙羽信子と殿山泰司の存在感のためゾッとするリアリテイを見せてくれるのが救い。
昭和飢饉を経験した乙羽信子の徹底した行政への不信がつらいし、みんな貧困にあえいで正気のない目をしているのがじっとり怖い。
青二歳

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