Keiko

サンセット大通りのKeikoのネタバレレビュー・内容・結末

サンセット大通り(1950年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

トーキー映画が主流になったハリウッドを舞台に、サイレント時代の栄光を忘れられないかつての大女優ノーマ・デズモンドの狂気を描いた作品。

物語自体はいたってシンプル。序盤でノーマが『サロメ』の脚本を自力で書き上げ、主演として映画界にカムバックすることを夢見ているのが全ての暗喩。
サロメはヨカナーンに恋するが、ヨカナーンはサロメを愛さない。ヨカナーンが欲しいサロメは、彼の首を切り落とし、冷たい唇に口づけする。
ノーマがサロメで、ジョーがヨカナーンといったところか。冒頭でジョーが最終的に殺されることは明らかにされるから、結末はだいたい読める。

物語うんぬん以前に、これは演出からしてビリー・ワイルダーが根っからの映画人で、本当に映画が大好きなんだなぁということが伝わってくる作品だ。

ハリウッドを舞台に華やかな物語を撮るわけではなく、あえて“売れない脚本家”と“忘れられた女優”にスポットを当てた設定も面白いし、何よりキャスティングが強烈すぎる。

ノーマ・デズモンドを演じるグロリア・スワンソンは、実際にサイレント映画で活躍した往年のスターで、本作で業界に返り咲いたというから驚き。
そんなグロリア・スワンソンを見出したのがセシル・B・デミル監督。彼はノーマ・デズモンドとかつてタッグを組んでいたという設定で、本人役で出演している。
さらに、ノーマを見出した元映画監督で、今はノーマの執事をしているマックスを演じるのは、彼自身も映画監督であるエリッヒ・フォン・シュトロハイム。

この、一見シビアな脚本とキャスティングをやってのけて、実際にこの映画をヒットさせているのだからすごい。これでコケていたら笑えないところだ。

他にも、あのキートンがカメオ出演していたり、実際にチャップリン映画に出演したことがあるグロリア・スワンソンにチャップリンのモノマネをさせたりと、“業界ネタ”が豊富に散りばめられていて、ニワカ映画好きの私では拾いきれなかった。悔しい!
Keiko

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