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サンセット大通りのtoriten45のレビュー・感想・評価

サンセット大通り(1950年製作の映画)
3.5
面白かったです。70年以上も前の作品を普通に楽しめるということに驚き。冒頭からプールに浮かぶ死体には面食らってしまいますが、耳障りのよいモノローグによって映画の世界に引き込まれていき、物語もテンポよく進行してたと思います。

「華やかな映画業界の内幕」と「コメディの名手ワイルダー監督」となれば何か明るいイメージを想像しながら見始めたら、なかなかのホラーでした…。グロリア・スワンソンのあの怪演振りは頭から離れないです。でも、ホラーで片付けちゃっていいのかな?

本作を観て思い浮かぶのがロバート・アルトマンの『ザ・プレイヤー』。実名がバンバン出てくるハリウッド業界のバックステージもの。本作でも公開当時であれば誰もが知ってるような有名人が実名で登場し、この業界の栄枯盛衰をかなり皮肉った演出に使われています。作品の中で登場する映画も実際にお蔵入りとなった本物なのだそう。

初見の方は、観る前に登場人物を押さえておくのでもいいと思いますし、そうしない場合でも観た後に解説モノを読むことお勧めします。でないと「ホラーを観た」で終わってしまう…。ちなみにエンドクレジットに表示される“パラマウントピクチャーズ”もなかなかの皮肉に見えてきます…。

本作を観て思い浮かぶもう一つの作品がヒッチコックの『レベッカ』なんです。大邸宅に住む取り憑かれた人の狂気に共通点が感じられる……。階段をゆっくり降りるグロリア・スワンソンが怖い…。『レベッカ』のダンバース夫人に近いのが執事かな。

最近公開されたデイミアン・チャゼル監督の『バビロン』('21)も同じようなテーマで、類似点もたくさんあるそうですね。いつか観たいです。
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