めしいらず

サンセット大通りのめしいらずのレビュー・感想・評価

サンセット大通り(1950年製作の映画)
4.0
落ちぶれた大女優ノーマが屋敷に迷い込んだ若い脚本家ジョーに取り込みハリウッド復帰を目論むけれど、隠せぬ老いと見込みの立たないカムバック計画、そして彼から見捨てられたことで殺し、ついに発狂する。言わずもがなのビリー・ワイルダーの恐るべき代表作。ノーマが惨めな老醜を隠そうとしてどんどん妄執に囚われていく様が恐ろしくまた哀れでもあり、老いや忘れ去られることに対する人間の心の根源的な脆さを感じさせる。良い時は囃され、旬が過ぎると切り捨てられる。旬が短い女優業のあまりに酷薄な現実。ノーマは消費社会の負の側面を体現しているだろう。ノーマ役を引き受けたグロリア・スワンソンの女優根性を見るよう。もはやホラー映画テイストなラストシーンがやはり物凄い。ノーマの元夫であり、元監督(実際もそう)であり、今は大いに怪しげな彼女の執事であるマックス役エーリッヒ・フォン・シュトロハイムの、一度見たら脳裏に焼きついて忘れ難い特異な存在感が際立っている。同じく業界内幕ものとして同年の名作「イヴの総て」と共に語り継がれる名作。「刑事コロンボ」の人気上位エピソード「忘れられたスター」の回のことも思い出す。死体が事件の概要を語り始める冒頭の洒脱なセンスがさすがワイルダー。
再鑑賞。
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