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ロルナの祈りのmasayaanのレビュー・感想・評価

ロルナの祈り(2008年製作の映画)
4.0
一目も二目も置いているシネフィルガチ勢な皆さまの評価が異様に低いのはなぜだろう。というのは大嘘で、確かに初期作に見られたヒリヒリ感というのはいくらか後退している。が、僕が初期の3作よりも『ある子供』と本作を評価するとすれば、主役の視点を置かれた人物らに降りかかる苦難に対して、基本的に自らの過失割合が生じているからである。それは不合理に湧いてきた不条理や、救われない者は救われないという古典悲劇ではなく、自らの過失によって招き入れてしまった実際的なトラブルなのだ(もちろん、彼ら・彼女らをそこに誘導してしまう問題は背景にあるにしても、ひとまずは)。あるいは、カメラのこれ見よがしな揺れや、お作法としての長回しが減っていることも大きい(さすがに数えはしなかったが、カット数は1.5倍くらいになっているように感じた)。むしろ、本作においては時間や描写の「省略」が凄まじいことになっており、本作におけるもっとも幸福なシークエンスの直後に時間軸が「事後」となっており、切ない。
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