片山幹生

氾濫の片山幹生のネタバレレビュー・内容・結末

氾濫(1959年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

伊藤整の原作小説はエゴイズムと欲望がうごめく各人物の内面を徹底的かつ露悪的に言語化されたものだった。映画では各人物の内面はモノローグによって説明されない。その代わり刹那的で幼稚でエゴイスティックな行為が無造作に、生々しく映し出されることで、結果的に小説の読後と似たねっとりとした後味の悪さが表現されている。野心家の青年を演じた川崎敬三の下品でやさぐれた雰囲気が秀逸。シニカルな結末がいい。