さよこ

デュオ 1/2のピアニストのさよこのレビュー・感想・評価

デュオ 1/2のピアニスト(2024年製作の映画)
3.4
【きっとこのために双子で生まれてきたんだね】
ガールズムービーが観たくて鑑賞🫶

🏊全体の感想
タイトルが伏線になってることに終盤で気付いた。予告だとストーリーが掴みきれなかったので、要所でこういう話かな…と予想しながら観てたんだけど尽く予想が外れ、一転二転…いや三転くらいするストーリーに翻弄されてとても楽しかった。

🏊ちょっとした予想
姉妹でピアノのソリストを目指すうちに仲良しだった2人がバチバチのライバル関係になっていく話がメインかと思ったらそんな事なかった。あるいは熱血指導をする支配的な父親から逃れる話かとも思ったけどこれも違った。予想ぜんぶ外れでした😂

🏊キャスティング
主役は双子の姉妹なんだけど、一人二役でもなく、双子を起用するでもなく、異なる女優さんを同じ髪の長さ、同じ髪の色にスタイリングして双子に見せてるのがとても良かった。おかげで2人の見分けが容易だし、双子だけど内面的な違いがより浮き彫りになって、とても良いキャスティングだなと思った。

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⚠️この先、ネタバレあります⚠️
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🏊印象的なシーン
手首の痛みを堪えて演奏しきったことで、却って情緒的な演奏になり、ソリストに選ばれるシーンが印象的だった。痛みが辛くてそんな場合じゃないのに、どう転んでも表現者になってしまうスキルの高さ。加えて鍵盤の裏側にあるピアノの内部を見せる演出や音も良かった。

🏊親の熱量
主人公の父親が体育会系なのもあって、子ども以上に父親の熱量がとにかく凄い。子どものコンクールの成績にこだわり、1番以外認めない、父親はピアノの素人なのにピアノに対してとてもスパルタ。子どもたちの人生の主役は子どもたち自身なのに、親が子どもの人生を支配しているように見えてハラハラした。だから双子たちがピアノが弾けない身体になったことで、ようやく父親とピアノの呪縛から逃れ、自分らしさを取り戻すのかなって予想したんだよね。音楽学校に入ってからの2人はピアノを弾いてて楽しそうにしているシーンがほとんどなかったし。だけど双子たちにとってピアノは何よりも必要なアイテムだったのが分かってとても救いだった。

🏊母親の切り札
娘たちの会話を盗み聞きして、娘に許可なく娘のプライバシーを学校に勝手に伝えるのちょっとしんどかった。本人は娘たちのために学校と交渉してあげたって思ってるかもしれないけど、学校の先生と無理やりしたわけでもないし、むしろ娘の方からふっかけてるのに、勝手にバラされるのはさすがに母親がクレイジーとしか言いようがない。世の中には担任の先生に聞かれてもいないのに勝手に娘に初潮がきたことを報告するデリカシーのない親(実話)もいるけど、この作品の母親のほうがさらに上をいくなって思った。いやーちょっと引いちゃった。それにしてもあの先生は主人公だけでなくポニテの子にも手を出してそうだよな…

🏊その他、いろいろ
・音楽院って何才から入るんだろう?大学生にもなってまだ親の監視下っていうのがこわいなって思っちゃったんだけど劇中で「娘はまだ16才」て言ってた気がするから高校生くらい?2人が16才に見えなくててっきり成人かと思っちゃった🙈
・先生のお気に入りのポニテの女の子どっかで観た顔なんだよなぁ…別の作品で観たのかな…
・手首を痛めたのはパパが強引に腕を引っ張ったからだと思ってたんだけど、パパのせいでも腕相撲のせいでもなかったのが分かってよかった。でもパパのせいで症状が悪化した疑惑はある。そして隠れて痛み止めのクスリ飲んでたら怒られるの意味分からん。
・もう1人の双子の姉妹に心配かけないようにって検査すら受けさせないのってどういうことなの…むしろ症状出てからじゃ遅いんだから早めにクスリ飲んだり腕をケアしたほうが良いんじゃないかな。父親はほんとに娘のこと大事に思ってるか?
・娘の病名に納得いかないからってお医者さんに文句言うのはさすがにモンスターすぎる。まるで病気になったのが医者のせいといわんばかり。父親じゃなくて母親が付き添いしてたら良かったのにね。
・娘たちの病気がわかったからって娘たちの気持ちを確認せずに早々にピアノを処分する父親も、ピアノは弾けるわけないじゃないって言い放つ母親もしんどいな。これまでの応援が嘘みたいな手のひらの返しよう。この両親のことはあまり好きになれなかった。
・お金ないわりに一度売ったピアノを取り戻すのも秒すぎてびびる。売ったときの値段と買い戻すときの値段は、後者のほうが高くなりそうなのにな。あの父親のことだから強引に±0で取り戻してそうだし、なんなら値引きさせてそう。
・さすが双子、2人とも自分からチューして恋愛が始まってる。アプローチの仕方がほぼ一緒。
・ピアノの上でしてるのキモいなって思ったら、おねーちゃんも同じこと思ってて良かった。
・1回したから恋人気分で教室行ったら向こうはそんな感情さらさらなくって哀しみ。
・さすがに本番までに1回も合わせナシっていうのは演出としてフェイクか過ぎる。他の奏者や指揮者へのリスペクトがない演出になっちゃってて残念
・舞台の幕が上がってるのに、出演するかしないかみたいなハラハラの演出好きじゃないんだよな…

【余談】
自分もピアノを習ってたとき、フォルテッシモの場面で鍵盤をチョップのカタチで弾いてるピアノの先生に出会ったことがあって、そんな弾き方で大丈夫?ピアノの弦が傷まない?と子どもながらに心配になった覚えがある。今回の主人公たちはそんな力任せにピアノを弾いたりせず、とても優雅で、特に終盤の演奏する姿はとても美しかった。エンドロールでも本人たちの演奏する姿を観れて大満足。
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