中庭

ヒア&ゼア・こことよその中庭のレビュー・感想・評価

ヒア&ゼア・こことよそ(1976年製作の映画)
3.8
「目と言語=舌のあいだには、激しい闘いがあります。目とは人民であり、言語=舌とは政府です。政府がみずからの見ることについて語り、それに応じて行動するなら、結構なことです。それは医者の言葉なのですから。医者は「副鼻腔炎です」と言って、モンタージュを、関連づけをやってみせます。映画とともに、ちょっと骨折って、フランス語の表現にあるように、物事をその名前で呼べば、何かが可能になるという徴が現れたのです。つまり、映画がとりわけ、物事をその名前で呼ぶための、一度も体験されたことのなかったような新しい仕方、大衆にただちに行き渡り、世界中からもまたただちに求められるような小さな出来事や大きな出来事を見るやり方であることの徴です。要するに、映画は思考するため、すなわち病気を治療するために作られたのです。」(ジャン=リュック・ゴダール「映画と歴史について」、四方田犬彦・堀潤之『ゴダール・映像・歴史ー『映画史』を読むー』産業図書株式会社、2001年、10頁)
配置・対置されるもの:強制収容所内部の苛烈さをきわめる記録映像、ライトなポルノグラフィー、家族でテレビに見入るフランス人一家のまなざし、パレスチナ人民戦線の若者たちの討議、軍事訓練に参入する女性たちの可愛らしい姿、写真と口語による映像モンタージュをカメラの前で手作りする男女五人を写した「裏側」、フィルムの持つフェティッシュを奪われた映像のビデオ画への電子的変換。
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